2016年熊本地方を震源とする熊本地震は、死者225名、負傷者2753名(2017年4月現在)という人的被害が発生し、多くのTVでも報道されたのは記憶に新しいかと思います。
今回は地震など災害時における車中泊についてのリスクや対策について述べていきます。
災害時に安易に車中泊を選択してはいけない
熊本地震で、よく報道されていたのがショッピングモールの駐車場で車中泊を行っている光景。
避難所に行かず、車中泊を選択した理由を調べてみると、
屋内が怖いといった地震に対する恐怖心からくるものや、避難所では他人に気を遣ったり、プライバシーがないからといった理由が聞かれたそうです。
もちろん、車中泊の場合はプライバシー面においては、避難所に比べると格段に良いかとは思います。
ですが、だからといって車中泊を安易に選択してはいけない理由が3つあります。
避難所で受けることのできる支援が受けられない可能性がある
基本的に、車中泊避難というのは、各自治体として好ましいとは言えず、ほとんど対策化されていません。
車中泊の場合、すぐ支援が受けられないという可能性を留意し、支援体制が整うまで、自分たちでなんとかしなければならないということを念頭に対策をしておくべきでしょう。
アイドリングによる一酸化炭素中毒の危険性及びガス欠
車中泊をする上で、基本的にアイドリングですることはマナー違反とされています。
なので、車中泊に慣れている人は、アイドリングをしなくても快適に寝られるように対策をしていますし、
装備を整えて車中泊を行っています。
今回の場合、熊本という気候的な部分、起こった季節が春先であったことから問題になりませんでしたが、
もし冬場の雪が降る地域であれば、排気口に雪が詰まり、そのまま車内に一酸化炭素が流入そのまま、中毒死という危険性も大いにあります。
また、災害時の給油は基本的に緊急車両を優先させるため、十分な燃料が確保できない場合もありますので、注意が必要です。
エコノミークラス症候群にかかる危険性
長期にわたるであろう避難生活を車中泊を行う上で、一番注意しなければならないのが、「エコノミークラス症候群」
長時間固定された姿勢(特に座ったままの姿勢)でいると、血が下半身にたまり血栓ができます。
その際に立ち上がるなどして、動き出したときに血栓が肺につまり、十分な血液が交換できなくなり、呼吸困難となって、最悪死に至るという疾患です。
実際、震災を直接の原因とした直接死(50名)よりも、ストレスや持病の悪化で亡くなった震災関連死(170名)が多く、そのうち、33名がエコノミークラス症候群で亡くなっています。
特に車中泊は、対策なしではものすごく危険です。
エコノミークラス症候群になりやすい原因
車中泊を震災時選択した方は、エコノミークラス症候群に対してなりやすい状況にあります。
血栓ができやすい寝方をしている
ベッド対策をして、フラットな状態で寝ているのであれば、問題ありませんが、基本的にシートに座って寝ている人が大半です。
短期的な仮眠であれば、問題ありませんが、災害避難であれば長期的になると予想され、発症の危険性が高まります。
水分を十分にとっていない
災害時はライフラインの途絶などにより、水分の安定的な供給がままならない場合もあります。また、トイレの問題もあり水分を取らないようにしている人も多くいます。
ですが、水分を十分にとらないと血液がドロドロになってしまい、血栓が生じやすい状態になってしまい、発症のリスクが高まります。
もし、災害時に車中泊を選択するなら
シートアレンジで寝るスペースを極力フラットにする
姿勢が固定されないようにすることがとても重要です。
とくに車のシートは体を固定しやすい形状をしているので、シートアレンジもしながら、布団やマットを使って、足元の部分を素材の固いクーラーボックスなどで埋めて寝る姿勢が極力フラットな状態にしましょう。
もちろん寝心地も変わりますし、エコノミークラス症候群の発症も防げます。
水分は適度に補給する
確かにトイレなどの問題でつい水分補給をおろそかにしがちですが、適度に水分は取りましょう。
時折ストレッチをして、血のめぐりをよくする
血栓は、長時間姿勢が固定されることで発生します。時折、ストレッチで血の巡りをよくして血栓ができないように予防しましょう。
3.災害対策グッズを用意しておく。
もし災害が発生した時に、対策グッズを用意しておけば、安心して車中泊で避難することができます。
まとめ
車中泊は、しっかりと知識を持って対策をすれば、災害時でも十分に機能することができます。
万が一、避難所が定員オーバーであったり、やむおえない事情がある場合は、車中泊をしなければなりません。
その時に、普段車中泊をしない人でも知識を持っていれば、工夫次第でいくらでも対策ができます。
確かに、災害時に車中泊で多くの人が亡くなりましたが、こういったサイトや書籍を通じて少しでも災害時の緊急対策になれば幸いです。